物流業界の人手不足はなぜ起きる?原因と解消する対策案を解説

「物流業界の人手不足がなぜ起きるのか?原因を追求し、採用だけでなく効率化して利益が出る対策方法を知りたい。」
こうした疑問にお答えします。
本記事の内容
- 国土交通省のデータから見る物流の人手不足の現状
- 物流業界で人手不足が起きる主な原因
- 物流の人手不足の解消策
物流の人手不足は「原因の見える化」「省人化」「採用と定着の再設計」を同時に進めることで、現実的に改善可能です。
本記事を最後まで読めば、少ない人数でも回る運用体制や、収益体質への転換まで見通せるようになるでしょう。
物流の人手不足を解消する方法の一つとして、物流のマテハン機器などを導入して自動化を図ることが挙げられます。当社では、さまざまな自動化ソリューションを提供していますので、気になる方はぜひ下記からご覧ください。
物流の人手不足における現状
物流業界における人手不足は、深刻な状況です。感覚的に採用が難しいだけでなく、統計上も求職者数より求人数が多い状態が続いています。
また、配送人手不足や運送業の人手不足も顕著です。ドライバー職の不足感は、他の職種と比べても非常に高い水準にあります。
有効求人倍率の推移
物流の人手不足は一時的なものではなく、データに裏付けられた構造的な課題です。有効求人倍率が高止まりしており、業界全体で人材の取り合いになっています。
有効求人倍率とは、求職者1人に対して何件の求人が出ているかを示す指標のことです。この数値が1.0倍を超えると、働きたい人よりも求人の数のほうが多い状態を指します。
最新のデータでは、全職業の有効求人倍率は1.14倍です。一方で自動車運転従事者は2.66倍に達しており、物流業界の採用難易度の高さがうかがえます。
物流の人手不足データを表にまとめました。
| 区分 | 指標 | 数値 | 出典参考 |
|---|---|---|---|
| 全国全職業 | 有効求人倍率 | 1.14倍 | 厚生労働省(※) |
| 自動車運転従事者 | 有効求人倍率 | 2.66倍 | 厚生労働省(※) |
引用:一般職業紹介状況(令和8年1月分)について|厚生労働省
「物流の人手不足はなぜ起きるのか」という疑問の根本にあるのは、高まる物流需要に対して働き手が追いついていないという需給ギャップです。
法改正による物流現場への影響
2024年の法改正は、物流業界における人手不足の原因の一つとして影響を与えています。労働時間の規制強化により、人数不足に加えて「稼働時間の不足」という問題が発生しました。
トラックドライバーの時間外労働には、年960時間という上限規制が適用されています。従来のような長時間労働を前提とした運行はできません。加えて改善基準告示も改正され、拘束時間や休息期間のルールも厳格化されました。
この変化が物流現場に与える影響を整理します。
| 項目 | 改正前 | 2024年4月以降 | 現場への影響 |
|---|---|---|---|
| 時間外労働の上限 | 制限なし | 年960時間 | 長距離運行が困難になる |
| 1年の拘束時間 | 3,516時間以内 | 原則3,300時間以内 | 要員追加が必要になる |
| 1か月の拘束時間 | 293時間以内 | 原則284時間以内 | シフト調整が複雑化する |
| 休息期間 | 8時間以上 | 原則11時間以上(最低9時間) | 運行スケジュールの再考 |
引用1:建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制|厚生労働省
引用2:トラック運転者の改善基準告示 | 自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト
国土交通省の試算では、対策を講じなければ将来的に深刻な輸送力不足に陥るとされています。適切な対策を行わないと、これまで通りに荷物が運べなくなるリスクがあるのです。
運送業の人手不足は、単なる採用難だけではありません。法改正によって1人あたりの稼働可能時間が減り、従来と同じ業務量をこなせなくなっている点が大きな要因です。
物流業界の人手不足はなぜ起きる?主な原因を解説

物流の人手不足は、物流量が増加する一方で働き手が減り、さらに働き方の制約が強まったことで起きています。原因を分解して理解すると、対策の優先順位付けがしやすくなります。
- EC市場拡大に伴う物流量の増加
- 少子高齢化による労働力人口の減少
- 法改正による労働時間の上限規制
- 過酷な労働になりやすい業務特性
EC市場拡大に伴う物流量の増加
物流量が増加した主な要因のひとつは、EC市場の拡大によって小口や多頻度の配送が増えたことです。これにより、配送の人手不足や倉庫作業の負荷が増大しています。
実際に経済産業省の調査によると、国内BtoC-EC市場規模は大きく拡大しました。市場が成長するほど日々の出荷波動が大きくなり、繁忙期に対応するための人員確保が必要になります。
EC利用の増加は売上機会を広げますが、現場では常に人員補充を求められる構造になりがちです。
少子高齢化による労働力人口の減少
生産年齢人口そのものが縮小しているため、他業界との採用競争も年々厳しくなっています。国の推計調査のデータでも、働き手となる世代の割合は将来的にさらに低下していく見通しです。
さらに、物流の人手不足に関する国土交通省のデータでも、全産業に比べて従業員の年齢層が高く若手が少ないことが顕著です。ベテランの退職と若手採用難による労働力不足は、避けて通れない課題です。
法改正による労働時間の上限規制
前述の通り、働き方改革関連法による時間外労働の上限規制(年960時間)は、物流の人手不足データに影響を与えています。
この規制により、長時間労働で支えられていた従来の運行スケジュールは抜本的な見直しを迫られています。
過酷な労働になりやすい業務特性
運送業で人手不足が続く背景には、長時間労働や身体的負担が大きい業務特性が影響しています。特にトラックの荷待ち時間や手作業での積み降ろしは、ドライバーの拘束時間を延ばす大きな要因です。
賃金面についても課題があり、国土交通省の白書では全産業平均と比較して時間あたり賃金は低い傾向にあることが示されています。業務の負担に対して報酬が見合わないと感じる求職者が多く、ミスマッチが起きやすい状況です。
こうした重労働から作業者を解放する手段として、コンテナからの荷下ろしを自動化するデバンニングロボットの導入が注目されています。
例えば、NKCの「ROBO Square」は2つの荷物を同時にハンドリングできるため、作業負担の大幅な軽減と効率アップを実現可能です。
物流の人手不足を解消する対策【効率化編】

物流の人手不足は、採用活動だけで埋めるのが極めて難しい状況です。人を増やすこと以上に「少ない人数で回る工程」に変えることが重要になります。
検討すべき主な対策案は以下の通りです。
- 自動倉庫や物流ロボットの導入
- 倉庫管理システムなどDXツールの導入
- 配車システムによるルート最適化
- モーダルシフトや共同配送への転換
自動倉庫や物流ロボットの導入
深刻な人手不足対策として、倉庫の自動化やロボット化は効果的な対策案です。
倉庫作業の工数は移動や探索に多くの時間を割かれやすく、商品数が増えるほど効率が悪化します。
具体的な導入機器は、以下の工程別に検討するのがおすすめです。
- 自動倉庫(AS/RS)
- AMR(自律走行搬送ロボット)
- AGV(無人搬送車)
- GTP(Goods-to-Person)
- 仕分けソーター
※参考:AGVとAMRの違いとは?導入するメリットと選び方を徹底解説
中でも導入のハードルが低く、即効性が高いのが搬送工程の自動化です。
例えば、NKCの低床AGV「ROBO Rook」なら、車両高さ180mmの薄さを活かして既存のかご車や台車の下に潜り込み、フォークリフトが入れない狭小スペースでも自動搬送が可能です。
その他にも、現在使用している台車をそのまま流用できる無人走行けん引車「ROBO Pullca」もありますので、まずは製品一覧で自動化ソリューションを確認してみてください。
倉庫管理システムなどDXツールの導入
倉庫管理システムなどのDXツールの推進は、より早く物流の人手不足の解消に効くケースが多くあります。現場の停滞は作業能力不足だけでなく、情報の欠落や伝達ミスで発生するためです。
在庫の差異やロケーション不明といった問題も、適切なシステム導入で解決できる可能性があります。
代表的なDXツールは以下のとおりです。
- WMS(倉庫管理システム)
- WCS(倉庫制御システム)
- ハンディターミナル・RFID
導入を進める際は、いきなり全体最適を目指さず段階を踏むことが重要です。まずは誤出荷や在庫差異をなくすだけでも、手戻り工数が減り現場の負担は軽くなります。
また、DXはシステム導入だけでなく業務プロセスの標準化が重要です。属人化を排除するほど、少人数でも安定して回る現場になります。
配車システムによるルート最適化
配車業務はベテランの勘に頼らず、システムによる制約条件の最適化へ移行すべきです。運送業の人手不足は属人的な業務が多く、担当者の退職がそのまま機能不全につながるからです。
配送人手不足の中で効率を維持するには、遠回りや待機時間を減らす必要があります。
配車システムを活用するには、以下の情報をデータ化しなければなりません。
| 制約の種類 | 具体的な項目 |
|---|---|
| 積載制約 | 重量、容積、荷姿、温度帯 |
| 時間制約 | 納品時間、休憩時間 |
| 車両制約 | 車格、ゲート制限 |
| 作業制約 | 付帯作業、待機見込み |
運用のコツとして、最初は完全な物流自動化を目指さず、システム案を人が確認する方法から始めてください。
モーダルシフトや共同配送への転換
トラック一台やドライバー一人に依存しない輸送体制へ切り替える必要があります。物流の人手不足に関するデータを詳しく見ると、将来的な輸送力の不足推計は非常に厳しい状況です。
国土交通省の資料などでも、何も対策しなければ2030年度にはさらに不足率が高まると示されています。
なお、モーダルシフトと共同配送は以下のような定義・目的となっています。
| 手法 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| モーダルシフト | 鉄道や船舶への切り替え | 長距離ドライバーの負荷軽減 |
| 共同配送 | 複数荷主の荷物を混載 | 積載率向上と便数削減 |
国土交通省ではモーダルシフト等を支援する補助事業も行っています。社内だけで抱え込まず、行政の支援や他社との連携を活用して構造改革を進めましょう。
物流の人手不足を解消する対策【採用編】
物流の人手不足は、単に求人の母集団を増やすだけでは解決しません。2024年4月からドライバーの時間外労働に上限規制が適用され、従来の採用計画は見直しが必要です。
- 自社に合うターゲットへの採用アプローチ
- 多様な人材が活躍できる職場環境の整備
自社に合うターゲットへの採用アプローチ
物流の人手不足対策では、「誰でもいい」という採用ではなく、ターゲットを絞り込むべきです。まずはターゲット別に、魅力の作り方と届け方を変えていきましょう。
次に、求人票と面接の設計を仕事内容の翻訳に寄せることが大切です。
次に、求人票と面接の設計を「仕事内容の翻訳」に寄せることが大切です。物流業界は職種名が同じでも実態が異なることが多く、そのミスマッチが配送の人手不足を招く原因になります。
以下の順で情報を整理すると、応募の質が高まります。
- 1日の流れを出社から退社まで時刻入りで書く
- 待機や荷役などの付帯作業の有無を明記する
- 給与を基本給と手当や残業代で分解して例示する
- 休日の取り方を運行実態に合わせて書く
- 研修期間と独り立ち基準を数値で示す
物流の採用を成功させるには、ターゲットに刺さる条件を言葉に落とし込むことが重要です。ターゲットを明確にしてミスマッチを減らすことが、人手不足解消への近道となります。
多様な人材が活躍できる職場環境の整備
採用の即効性を高めるには、まず入社後の働きやすさを整えるべきです。定着率の低さがボトルネックとなり、物流の人手不足を引き起こしているケースも少なくありません。
現場の負荷が高いままだと離職を招くため、「ホワイト物流」のような労働環境の改善が必要です。改善施策は採用ブランディングに直結する順序で進めましょう。
具体的な打ち手と採用での伝え方は以下の通りです。
| 施策カテゴリ | すぐ効く打ち手の例 | 採用での伝え方の例 |
|---|---|---|
| 労働時間や拘束時間 | 便の組み替えやデジタコ活用 | 月の拘束時間の目安提示 |
| 荷待ちや荷役負担 | 予約受付やパレット化 | 手積み手降ろし比率の提示 |
| 賃金の納得感 | 手当の整理や評価制度 | 給与アップ条件の見える化 |
| 安全や健康 | 休憩設計やヒヤリハット共有 | 事故削減への取り組み提示 |
| 設備や受け入れ | トイレや更衣室の整備 | 女性やシニアも働ける理由 |
賃上げや条件改善には、荷主に対する運賃交渉も欠かせません。国土交通省が示す「標準的な運賃」などを参考に、持続的な経営を目指しましょう。
また、多様な人材確保の手段として外国人材の活用も有効な選択肢です。「特定技能」や「育成就労制度」といった最新の制度情報を確認し、採用計画に組み込みます。
物流の人手不足解消には、多様な人が長く働ける職場作りが不可欠です。条件と実態を一致させることが、結果的に採用と定着の成功につながります。
まとめ

物流業界全体を悩ませている物流の人手不足は、有効求人倍率のデータが高止まりするなど非常に深刻な状況です。
国土交通省も懸念を示す「2024年問題」や高齢化の影響により、運送業の人手不足がなぜこれほど常態化しているのかを正しく理解しなければなりません。
採用活動だけに頼るのではなく、マテハン機器や管理システムによるDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組み、根本的な物流の人手不足対策も同時に進めるべきです。
NKCの「KOLEC」ブランドでは、バッテリー式フォークリフトをはじめ、無人搬送車(AGV)、けん引車、デバンニングロボットまで、現場の課題解決に直結する多彩なマテハン製品を開発・生産しています。
「どこから自動化すべきか分からない」「自社に合う機器を知りたい」という方は、ぜひ一度KOLECのマテハン機器をご検討ください。