メディア

物流改善とは?現場の課題を解決するシステム導入と5つの手順

物流倉庫の改善の様子

「物流コストの高騰や人手不足を解消したいけれど、現場の属人化が深刻で、具体的にどこから物流改善に手を付ければいいのか分からない。」

こうしたお悩みを解決するために、現場を仕組み化し、誰でも円滑に業務を回せるようにするための物流改善ノウハウをまとめました。

本記事の内容

  • 物流改善が必要とされる背景と直面している課題
  • 業務の無駄を省く改善の進め方5ステップ
  • 配送や倉庫作業を効率化する最新の物流システム

物流改善を成功させる鍵は、現場の課題を可視化した上で、自社に最適なテクノロジーを導入することにあります。製造業の物流現場においても、まずは正しいアプローチで現状を把握しなければなりません。

この記事では、現場の負担軽減と利益率向上を目指すための「物流改善」の道筋のヒントをご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

物流改善が求められる背景

物流業界では現場の努力に加え、荷主企業も含めたサプライチェーン全体での改革が必須です。物流業務を効率化するための背景には、主に4つの要因があります。

深刻化する人手不足

物流現場における労働力不足は、深刻な状況が続いています。少子高齢化に伴うドライバー不足に加え、新規就業者が減少していることが大きな要因です。

人手不足がもたらす具体的な影響を以下にまとめました。

  • 配送リードタイムの長期化
  • 希望する時間帯への配車が困難になる
  • 人員確保のための運賃水準の上昇

「いつでも、安く、大量に」運ぶモデルは、1人が運べる貨物量が減り、限界を迎えています。この状況を乗り越えるには、モーダルシフトや共同配送といった抜本的な物流改善の考え方が欠かせません。

あわせて読みたい:製造業の人手不足はなぜ?現状データと解決策【専門家が解説】

物流コストの高騰

燃料費の変動に加え、人件費と運送費の上昇が物流コストを大きく押し上げています。同じ量を運ぶために、より多くの人手が必要な構造へ変化したことが要因です。

物流コスト増大の要因と現状は以下の通りです。

多頻度小口配送などの商習慣が積載率を低下させ、1個あたりの配送コストを跳ね上げている側面があります。荷主企業が自ら出荷条件を見直すなど、物流の現場改善に向けた歩み寄りが不可欠です。

法規制による残業制限

働き方改革関連法の適用により、2024年4月からドライバーの時間外労働に上限が設けられました。さらに改正物流効率化法により、物流統括管理者の選任などが義務化されます。

法規制による主な変更点は以下の通りです。

  1. 2024年4月からトラックドライバーの時間外労働上限規制が適用
  2. 2026年4月から中長期計画の策定や物流統括管理者の選任が法的義務化
  3. 義務を履行しない場合、最大100万円の罰金や勧告の対象となる

物流効率化は努力目標から、法定義務としての性質を強めています。製造業の物流改善などを進める企業にとって、早期の改善体制構築が強く求められているのです。

出典:5分でわかる物流効率化法の改正のポイント|国土交通省

作業品質の低下

人手不足と労働制限のしわ寄せは、現場の作業品質にも波及しています。限られた人員と時間で膨大な業務をこなす状況が、ミスや事故のリスクを高める原因です。

作業品質低下によって懸念される主なリスクを挙げます。

  • 荷扱いの乱雑化による破損や誤出荷の増加
  • ドライバーの焦りによる交通事故の増加
  • 倉庫やトラック待機場所での混雑による配送遅延

これらの問題解決には、物流システム改善によるトラック受付の平準化などが有効です。現場任せにせず、仕組みから見直すことで品質と効率の両立が可能になります。

物流システムによる改善提案

物流の最新の改善が行われている倉庫

労働力不足の解消やデータの可視化を実現する手段として、特に注目されているシステムは以下の3つです。

  • AGV・AMR
  • WMS(倉庫管理システム)
  • TMS(輸配送管理システム)

AGV・AMR

物流の現場改善事例として、搬送ロボットであるAGVやAMRの導入を検討する企業が増えています。

マテハンによる自動化によって、作業員が歩く時間を削減可能です。浮いた人員をより判断力が求められる管理業務へシフトすることで、製造業物流改善などの現場でも成果が期待できます。

搬送ロボットの導入メリットは以下の通りです。

  • 出荷検品場所への移動やパレット回収といった歩く作業を自動化
  • ヒューマンエラーによる事故リスクを減らし、現場の安全を確保
  • 24時間稼働により、人手不足が深刻な夜間帯も運営を安定化

近年では、さらに一歩進んで、AGVとAMRの強みを組み合わせた機種も登場しています。

NKC ROBO Rook

NKCの低床AGV「ROBO Rook」は、高さ180mmの小型ボディでありながら、SLAM方式と磁気・QRコード走行の3つの制御方法を兼ね備えています。フォークリフトが入れない狭所へのアクセスや、高い停止精度を両立しました。

狭い現場や既存のレイアウトを活かした自動化をご検討の方は、ぜひ詳細をご覧ください。

WMS(倉庫管理システム)

WMSは入荷から出荷までの庫内業務を一元管理し、在庫精度を高めます。改正法で求められる物流データの可視化を実現するための、中心となるシステムです。アナログな管理からデジタル管理へ移行することが、物流改善の考え方の基本といえます。

WMSを導入すべき理由は以下の通りです。

  • 紙やExcelによる管理をなくし、情報のズレや誤出荷を防止できる
  • ハンディターミナルでの検品により、ピッキングミスをゼロに近づけられる
  • 経験を問わず誰もが即戦力として動ける環境を作り、属人化を解消できる

最近はクラウド型システムの普及により、他拠点との連携も容易になりました。TMSや運搬ロボットと連携させることで、物流現場の改善事例としてより高い効果を発揮します。

TMS(輸配送管理システム)

TMSは配車計画や運行管理を効率化し、配送業務全般を最適化するシステムです。物流改正法が掲げる荷待ち時間の削減や積載率向上を達成するために、重要な役割を担います。

TMSの活用により、配送業務は以下のように進化します。

  1. AIによるルート最適化で、渋滞予測や指定時間を考慮した配送順を算出する
  2. バース予約システムと連携してトラックの到着を平準化し、待機問題を解消する
  3. 他社との貨物情報をマッチングさせ、空車回送を減らして積載率を高める

TMSの導入効果はコスト削減だけでなく、環境負荷の低減や労働環境の改善にも直結します。

現在は運送会社だけでなく、荷主企業への物流改善の提案事例としてもTMSが注目されています。配送データを分析すれば、将来的な実績報告義務にもスムーズに対応可能です。

物流改善の進め方・考え方5ステップ

法規制への対応と物流現場の改善を両立させるには、以下の5ステップで取り組むことが重要です。プロの視点から成果を出すための考え方を、最新の動向を交えて解説します。

  1. 既存の業務フローを可視化する
  2. 課題やボトルネックを洗い出す
  3. 施策を立案する
  4. システムをテスト導入する
  5. 効果を測定し、改善する

①既存の業務フローを可視化する

物流改善の第一歩は、現状を客観的なデータで可視化することです。正確な数値の把握なしに施策を打っても、原因を特定できず改善が場当たり的になります。

はじめに、以下の項目を重点的に数値化しましょう。

  • 物流量:出荷量、配送エリア、輸送頻度
  • 時間:荷待ち時間や荷役作業時間の実測値
  • 輸送条件:納品頻度、時間指定、出荷ロット数
  • 物流コスト:輸送費、保管費、人件費、管理費

改正法では、荷待ち時間などの実測値を国に報告する義務が生じます。Excelや日報、デジタルツールを使って時間単位のデータを取得できる体制を整えましょう。

②課題やボトルネックを洗い出す

可視化したデータに基づき、全体の流れをせき止めているボトルネックを特定します。改善効率を高めるには、影響度の大きい課題から優先的に着手するのが有効です。

物流業務の改善において解消すべき代表的な課題を、以下の表にまとめました。

代表的な課題・ボトルネック具体的な影響と要因
業務の属人化特定のベテラン従業員にしか分からない作業があり、ミスや効率低下を招いている。
アナログな管理体制紙の伝票やExcelでの手入力に頼っており、リアルタイムの在庫把握や進捗管理ができていない。
非効率な作業動線倉庫内のレイアウトやピッキング動線が悪く、作業員の移動や探す時間が増大している。
長時間のトラック荷待ち入出荷の時間が特定の時間帯に集中し、ドライバーの拘束時間を引き延ばす要因になっている。
厳しいリードタイム・時間指定直前の発注やタイトな納期設定、細かな時間指定が配車計画を圧迫し、効率的な共同配送を妨げている。

③施策を立案する

課題が明確になったら、具体的な物流改善策を立案します。自社だけで解決を図るのではなく、配送先や物流事業者と協力してサプライチェーン全体を最適化する視点が必要です。

具体的な施策の方向性として、以下の3つの観点から検討します。

  • 時間の削減:バース予約システムの導入やリードタイムの見直し
  • 積載の効率化:AIによるルート最適化、共同配送の実施
  • デジタル化:物流システム改善としてのTMSやWMSの活用

④システムをテスト導入する

立案した施策は、大規模に展開する前に一部の拠点やルートでテスト導入を行います。いきなり全社導入すると、現場の混乱を招きスタッフの抵抗を強める可能性があるため注意が必要です。

テスト導入時には、以下のステップを意識します。

  1. スモールスタート:特定の配送ルートや1箇所の倉庫に限定する
  2. 現場の声:スタッフから使い勝手や問題点のフィードバックを受ける
  3. 数値比較:導入によって荷待ち時間やコストがどう変化したか計測する

⑤効果を測定し、改善する

実施した施策の効果を定量的に測定したあとは、さらなる改善へと繋げます。自社の状況に合わせたPDCAサイクルを回し続けることが近道です。

効果測定で追跡すべき主要KPIは下表の通りです。

主要KPI(指標)測定する目的改善のポイント
車両待機時間トラックが到着してから積込や荷降ろしが始まるまでの時間を把握するためバース予約システムを導入し、車両の到着時間を平準化する
荷役作業時間積み込みや荷降ろしそのものにかかっている時間を測定するためパレット化(手荷役の削減)やマテハン機器を導入する
積載率車両の最大積載量に対し、実際に積載している貨物量の割合を可視化するため共同配送の実施や、荷主側に出荷ロットの見直しを提案する
誤出荷率総出荷件数のうち、品違いや数量違いが発生した割合を把握するためWMS(倉庫管理システム)を導入し、バーコード検品に切り替える
時間あたりピッキング件数作業員1人が1時間あたりに処理できた注文・商品数を測定するため倉庫内のレイアウト見直し(動線短縮)や、搬送機を導入する

KPIを改善していくためには、現場の状況に合わせた最適なマテハン機器や自動化システムの選定が不可欠です。

自社のボトルネックを解消し、確実に成果へと繋げるためにどのような機器が有効なのか、ぜひ製品一覧ページでラインナップをご確認ください。

物流改善で陥りやすい失敗

AGVで物流改善している画像

物流改善は単なるコスト削減ではなく、品質・納期・コストのバランスを整える取り組みです。物流改善で陥りやすい失敗は、主に以下の3点です。

  • 過剰な初期投資
  • 現場意見の軽視
  • 不明確な導入目的

過剰な初期投資

物流改善における典型的な失敗は、現状分析をせずに高額なシステムや自動化設備を導入することです。自社の実態に合わないシステム化は、かえってコストを圧迫しかねません。そのため、まずは投資規模に応じた「段階的なアプローチ」が欠かせません。

いきなり物流の自動化やDXを進めると、投資回収の長期化によるキャッシュフローの悪化や、現場の非効率な動線をそのままシステム化してしまうリスクが生じます。まずはコストをかけずにできる、身近な現場改善から着手するのが基本です。

現場意見の軽視

物流業務の改善において現場の意見を無視してしまうと、せっかくの施策が形骸化する原因になります。実態を無視した物流改善は、以下のようなリスクを生みます。

  • 現場にとって使いにくいルールが守られなくなる
  • スタッフの負担が増えて離職の原因になる
  • 動線の把握不足により誤出荷や配送遅延が起きる

外部の専門家や物流現場改善士の視点を取り入れることも有効ですが、それ以上に現場へのヒアリングが重要です。まずは現場が困っているポイントを把握し、協力して仕組みを築く必要があります。

不明確な導入目的

改善活動そのものが目的になり、本来のゴールが曖昧になるケースが多く見られます。目的が不明確な状態では、施策の方向性がブレてしまい、十分な効果を得られません。

軸のぶれない物流改善を進めるには、データに基づいて具体的な数値目標を設定することが大切です。

  • 配送コスト: 運賃単価や積載率の推移
  • 作業効率: 時間あたりのピッキング件数
  • 品質維持: 誤出荷率やリードタイムの遵守率
  • 労働環境: ドライバーの拘束時間や残業時間の推移

数値目標を定めておくことで、導入した施策の効果を正確に検証できるようになります。

まとめ

2024年問題やコスト高騰が深刻化する今、現場の属人化を防ぐ物流改善は、企業経営において急務です。

テクノロジーの導入や現場と一丸となった仕組み化は、単なる業務効率化に留まらず、会社の利益率向上につながります。

NKCでは、他社の一歩先を行く専門的なご提案に加え、AGVや無人フォークリフト、コンテナからの荷降ろしを自動化するデバンニングロボットなど、現場のさまざまなニーズに応えるマテハン機器を提供しています。

何から着手すべきかお悩みの方や、持続可能な物流体制を構築するための選択肢をお探しの方は、まずはNKCへお気軽にお問い合わせください。

Contact

お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ

06-6351-4772

メールでのお問い合わせ

問い合わせる