導入事例

導入事例:自律走行ロボットフォークリフトで佃煮の出荷搬送を無人化(フジッコ株式会社)

項目内容
産業分野食品
適用用途ハンドリング/出荷搬送(パレット搬送)
導入製品無人走行ロボットフォークリフト「ROBO Fork15」(中西金属工業株式会社)
フジッコ株式会社の社員の方々

私たちの食卓に欠かせない、昆布の佃煮、ふっくらと炊き上げた煮豆、彩り豊かなお惣菜——。和の伝統素材を軸に「おいしさ」と「健康」を届け続けてきた食品メーカーが、フジッコ株式会社です。近年は大豆由来のヨーグルトをはじめとする発酵食品や、健康志向の機能性食品へと事業領域を広げ、伝統と革新の両輪で成長を続けています。

その主力を担うのが、兵庫県にある鳴尾工場。佃煮からお惣菜、大豆ヨーグルトまで幅広い製品を生み出すフジッコ最大規模の中核拠点です。いまこの工場の出荷現場で、中西金属工業の無人走行ロボットフォークリフト「ROBO Fork15(ロボフォーク)」が、人に代わって製品を運んでいます。深刻化する人手不足と安全性の確保という、食品製造業に共通する課題に挑んだフジッコの自動化の歩みを取材しました。

フジッコの主力を担う「中核拠点」鳴尾工場

フジッコは、煮豆などの豆製品や昆布製品を中心に、伝統的な和素材を提供する食品メーカーです。近年はヨーグルトなどの発酵食品や健康志向の機能性食品事業にも領域を拡大し、「おいしさと健康価値の両立」を軸に事業を展開しています。

フジッコ株式会社鳴尾工場

数ある生産拠点のなかでも、今回ROBO Fork15を導入した鳴尾工場は、佃煮品群、おかず畑品群、デリカ商品、そして大豆ヨーグルトなどを手がける、フジッコ最大規模の生産拠点。まさにグループの中核を担う工場です。

その出荷量は膨大です。ROBO Fork15が稼働する佃煮の生産ラインだけでも、1日あたり6,000〜7,000ケース、パレット数にして毎日50〜60パレットを出荷しています。梱包工程から出荷場まで、製品を運ぶ搬送業務が、日々途切れることなく発生し続けているのです。

「ノウハウはゼロ」から始まった出荷搬送の自動化

食品業界全体に重くのしかかるのが、深刻な人手不足です。鳴尾工場も例外ではありませんでした。

「採用は進めているのですが、なかなか人が決まらない。加えて高齢化による熟練作業者の退職も進んでいました。人件費の高騰もあり、業績への影響も大きい。だからこそ、自動化・省人化によって人件費を抑えていくことが求められていました」と、導入当時に佃煮グループを率いていた嶺田さん(現・惣菜盛り付けグループ管理者)は振り返ります。

フジッコ株式会社工場内部

熟練作業者の退職は、単なる人数の問題にとどまりません。作業品質のばらつきやヒューマンエラー、マテリアルハンドリングの効率低下といった課題が、現場でじわじわと顕在化していました。

そうしたなか、自動化への一歩を後押ししたのが、当時の工場長から託された「省人化・自動化を推進せよ」というミッションでした。検討の候補にのぼったのが、出荷場の自動搬送ラインです。とはいえ、社内に前例はありません。

「正直に言えば、ノウハウも知識も何もない、ゼロからのスタートでした」(嶺田さん)

まずは情報を集めるところから始まり、専門知識をもつ設備グループが各社の情報を収集。そのなかで声をかけた一社が、中西金属工業でした。

導入前の現場では、人手でパレット積みされた製品を作業者がハンドリフトで搬送していました。しかし製品が常に流れてくるわけではないため、待ち時間や停止時間といった「ムダ」が発生していたといいます。

この非効率は、時間帯の偏りによっていっそう深刻になっていました。佃煮の生産は基本的に9時から20時ごろまでの日中体制。当日配送は16〜17時で締め切られるため、それ以降に生産した分は翌朝の出荷に回ります。前日分が朝一番に集中するため、午前中は出荷作業がピークを迎え、人手を大きく費やす——。一方で午後はラインが集約され、出荷の待ち時間が伸びる。人の配置をうまく使い切れない時間帯が生じていたのです。

安全面の課題も見過ごせませんでした。

「年間に2〜3件は、ヒヤリ・ハットが発生していました。作業者教育という点でも課題があり、自動化によって労災リスクを軽減できるのではないかと考えていました」(嶺田さん)

ハンドリフト作業に伴う安全リスクに加え、出荷時の記載間違いといったヒューマンエラーが、結果としてお客様にご迷惑をおかけすることもありました。これらを自動化によって抑制できるのではないか——。省人化・安全性向上・品質安定という複数の狙いが、出荷搬送の自動化へと結実していきます。

もっとも、現場の最初の反応は決して前のめりではありませんでした。「実績がなかったので、『そんなに簡単にできるのか』という不安の声は多く上がりました」と嶺田さん。それでも検討が進むにつれ、「これが実現できれば作業の効率化につながる」という前向きな声も生まれていったといいます。

決め手は「レイアウトを変えずに入る」自律走行

数あるソリューションのなかから中西金属工業のROBO Fork15を選ぶにあたり、フジッコが重視したのは三つの条件でした。安全の確保、費用対効果、そして大幅なレイアウト変更をしないこと。投資を極力抑えながら自動化を実現したい、という思いがそこにはありました。

フジッコ株式会社とフォークリフト

「大幅なレイアウト変更がいらない、というのが大きな理由です。磁気テープなどを使った運用を必要とせず、自律走行で動いてくれる。それが私たちの現場に適していると判断しました」(嶺田さん)

ROBO Fork15は、誘導線や磁気テープを一切必要としない自律走行式の無人フォークリフト。床に貼ったテープが人やフォークの通行で剥がれてしまう心配もなく、既存のレイアウトを大きく変えずに導入できる点が、限られたスペースの食品工場と相性が良かったのです。

導入を決定づけたもう一つの要素が、デモで実感した性能の高さでした。

「実際にROBO Fork15のデモを見せていただいたとき、パレットへの進入精度が非常に高いという印象を受けました。安全対策についても、こちらの要望をベースに対応していただき、安心・安全な装置の導入に向けて協力いただけたと感じています」(嶺田さん)

導入にあたっては、出荷搬送ライン、パレットラック、そして出荷場まで搬送するコンベアを新規導入。一方、上流側は既存ラインを活かしました。これまでロボットが振り分けた製品を、人が出荷場まで搬送しておりました。その搬送部分をROBO Fork15が担うことで、出荷まで完全に無人化する構想です。

ライン出荷工程の無人化の図

課題が与えられてから本稼働まで、要した期間は約2年。社内にノウハウも知識もないなか、情報収集からのスタートだったことが、その期間に表れています。

技術的にもっとも気を遣ったのが、現状のレイアウトに無人搬送をどう収めるか、でした。

「既存のレイアウトは決まっており、その中で無人搬送車が走行するための導線、旋回するスペースをどう確保するか、どのような製品を導入できるかを、コンパクトさや小回りを意識しながら考えました」(嶺田さん)

この点については、中西金属工業が動線の確保を事前に確認したうえで提案。「ここにこういった作業を」という具体的な形で示してもらえたことで、フジッコ側も安心して進められたといいます。当日仕上がった製品の実績をモニターで管理したいという要望にも、画面構成を含めて対応してもらいました。

導入直後には、トラブルもありました。

「私たちがパレットを置く位置が安定していないところがあり、ROBO Fork15がパレット進入する際にフォークの爪位置が合わず、異常停止するトラブルが多かった印象です」(嶺田さん)

中西金属工業は、位置ズレの微調整に対応しつつ、調査のなかで「パレット側に問題があるのではないか」という原因を特定。「このパレットに替えたほうが安定する」といった提案まで踏み込み、トラブルは着実に減少していきました。

ハンドリフト作業が消え、1名分を省人化

ROBO Fork15の導入によって、現場は確かな変化を手にしました。

最大の成果は、ハンドリフトによる搬送作業が完全になくなったこと。これにより、1名分の省人化を実現しました。あわせて、たびたび発生していたヒヤリ・ハットや、作業者教育にかかっていたコストも軽減。作業ミス・ヒューマンエラーの抑制にもつながりました。

「作業の効率化は上がっていますし、作業ミスやヒューマンエラーが抑えられている。現場からも『良くなったよね』という声が出ています」(嶺田さん)

フジッコ株式会社 製造2課 嶺田様
フジッコ株式会社 製造2課 嶺田さん

搬送スピードそのものは、出てくる製品を順に流していくため大きくは変わりません。それでも無人で円滑に稼働している点を、現場は高く評価しています。

「導入当初は、午前中に作業が集中するので、バッテリーの交換頻度が運用に支障をきたさないかという不安もありました。ですがそのあたりも、中西金属工業さんからご提案いただいた流れの通りで、無事に円滑に進められています」(嶺田さん)

ロボットの導入に合わせ、現場の運用も見直しました。前日生産分の出荷が朝に集中し、当日生産が始まるまでに前日分を払い出さなければならない。この流れに合わせ、前工程である仕込みのグループと調整しながら体制を組み直したといいます。

導入後のサポート体制も、安心につながりました。現場で対応できないトラブルは電話で連絡し、電話で解決できるものはその場で、難しいものは当日中に来訪して処理してもらえる。導入時には現場に立ち会い、課題が解決するまで一緒に取り組んでもらえたことが、信頼につながったと振り返ります。

社内へのインパクトも小さくありませんでした。フジッコにとって、無人ロボットの導入は全社初。その実績が、今後ほかの工場で自動化を検討する際の「モデルライン」となり、経営層へのアピール材料にもなっています。

「工場見学に来られた方に『ここは無人搬送ラインを組んだんですよ』とお伝えすると、『こういうラインもできるんだ』という声をいただくことが多いですね」(嶺田さん)

「さらなる自動化」を目指して

出荷搬送の無人化を実現したフジッコは、その先も見据えています。

「具体的にはこれからですが、理想としては資材の荷受けなど、いまも人手で苦労している作業にも導入を広げ、作業者の負担軽減につなげられたらと考えています」(阪口さん)

フジッコ株式会社 製造課 課長 阪口様
フジッコ株式会社 製造課 課長 阪口さん

他拠点への横展開については、慎重な見方も。「佃煮の出荷場は、他の工場に比べてスペースが比較的確保されています。現状では他工場への展開は難しいのですが、今後、新工場を設立するようなことがあれば、自動化を前提としたレイアウトを検討・提案していきたい」と展望を語ります。来年以降は商品が増え、ラインも増設される見込み。予算が確保できれば、既存以外の場所でも出荷自動搬送ラインを増やしていきたいといいます。

検討から導入、運用に至るまで中西金属工業と歩んだ道のりを、フジッコはこう総括します。

「印象に残っているのは、迅速かつ柔軟に対応していただいたこと。おかげで安心して運用できています。顧客ファーストといいますか、私たちの要望に寄り添って提案いただけたので、同業の方にも安心して推奨できるポイントだと思います」(嶺田さん)

人手不足という構造的な課題に、現場の知恵とロボットの力で立ち向かうフジッコ・鳴尾工場。その出荷現場では今日も、ROBO Fork15が静かに、確かに製品を運び続けています。

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