物流コストの削減方法とは?配送・輸送費のアイデア事例を解説

「物流コスト削減の具体的な手法を知り、サービス品質を落とさずに業務効率を向上させたい」
こうした疑問に答えます。
この記事でわかること
- 物流コストの内訳と可視化の手順
- 配送ルート最適化やシステム導入の具体策
- 予算ゼロで取り組める現場の改善案
物流コスト削減の第一歩は、現状の費用を正確に把握し、無駄が生じている工程を特定することです。
運送業のコスト削減に役立つ視点や、輸送コスト削減につながるアイデアを紹介します。品質を維持しながら効率化を図りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
物流コスト削減が急務となっている背景
物流コスト削減は、多くの企業にとって経営上の重要課題とされています。従来のコスト削減策だけでは吸収しにくくなっている物流費も、外部環境の変化により利益を圧迫する要因になりつつあります。
背景として、以下の3つが挙げられます。
- 燃料価格の高止まり
- 深刻な人手不足
- 労働規制の強化
燃料価格の高止まり
物流コストの中でも大きな割合を占める輸送費は、燃料価格の変動の影響を受けやすい費目です。国内のレギュラーガソリン価格は2026年3月に中東情勢の緊迫化を受けて一時190円/Lを超える過去最高水準まで上昇するなど、高止まりが続いています。
燃料価格が物流コストに与える影響と現状を整理します。
| 項目 | 内容と影響 |
|---|---|
| 価格の推移 | 2026年3月にレギュラーガソリン全国平均が190.8円/Lと過去最高値を記録 |
| 高騰の要因 | 中東情勢とホルムズ海峡の輸送障害 世界的なエネルギー価格の上昇 円安の進行 |
| 輸送業への影響 | 長距離輸送ほど燃料費の比率が高く燃料サーチャージ等の転嫁も困難な状況 |
エネルギー価格の不安定な推移は、企業の努力だけではコントロールが難しい外部リスクです。輸送効率を高める工夫が求められています。
深刻な人手不足
物流業界の人手不足は、一時的なものではなく深刻な構造的課題といえます。
NX総合研究所の推計を基にした政府資料では、有効な対策を講じない場合、輸送能力の不足率は2030年度で約34%に達するおそれがあるとされています。
人手不足が加速している主な理由は以下の通りです。
- 少子高齢化に伴う労働人口の減少
- 長時間労働や拘束時間の長さといった厳しい労働環境
- EC市場の拡大に伴う多頻度・小口配送の急増
需要に供給が追いつかない状況では、人員確保のための待遇改善が避けられません。結果として、荷主企業への運賃値上げ要請につながるケースも見られます。
出典:物流の2024年問題に対する関東運輸局の取組|国土交通省 関東運輸局
労働規制の強化
2024年4月に適用された働き方改革関連法により、トラックドライバーの時間外労働には年間960時間の上限が設けられました。
労働規制の強化がもたらす主な変化は以下の通りです。
- 輸送能力の不足により、従来の輸送体制が維持できず運べる荷物の総量が減少
- ドライバーの労働時間を短縮しつつ収入を維持するため、運賃のベースアップが加速
- 中継輸送の導入や積載効率の改善など、業務プロセスの抜本的な変更が必要
規制強化は避けられない外的要因であり、物流コストは上昇するという前提での対策が必要です。IT活用による業務効率化など、抜本的な物流コスト削減が求められています。
物流コスト削減の対象となる費用の内訳

物流コスト削減の第一歩は、費用がどこでどれだけ発生しているかを正確に洗い出すことです。コストの内訳を可視化すれば、どの費目にどんな対策を打つべきかが見えてきます。
物流コストは、以下の5つの費目に分類されます。
- 輸送費
- 保管費
- 荷役費
- 包装費
- 物流管理費
輸送費
輸送費は製品を運ぶ際に発生する費用で、物流コストの大きな割合を占めます。配送業者への支払運賃や自社車両の燃料費、ドライバーの人件費などが主な内訳です。
配送コスト削減には、配送効率の向上が欠かせません。代表的なアプローチは次の3つです。
| アプローチ | 内容 |
|---|---|
| 配送ルートの見直し | 運行管理システムで無駄な移動を減らす |
| 積載率の向上 | 荷物の混載や幹線輸送の集約で車両台数を抑える |
| 外部委託先の見直し | 複数企業を使い分け、運賃交渉で単価を適正化する |
運送業のコスト削減を目指す際は、自社配送と外部委託の費用を比較することが大切です。
保管費
保管費は商品を倉庫で維持するために必要な費用です。賃料や光熱費、倉庫管理に関わる人件費が含まれます。
保管費の削減には、在庫の適正化とスペースの有効活用がポイントです。過剰在庫はスペースを圧迫し、キャッシュフローも悪化させます。定期的に在庫回転率を確認し、不要な在庫の処分や発注調整を行ってください。倉庫内のレイアウトを見直せば、保管密度が高まり賃料負担を軽減できます。
あわせて読みたい:倉庫のスペース不足の原因とは?有効活用で解消する方法を解説
荷役費
荷役費は、商品の入出庫や倉庫内での移動に伴う作業コストです。棚入れやピッキング、ラベル貼りなどの流通加工に関わる人件費が大きな割合を占めやすくなります。
荷役費は人件費の比率が高いため、作業の標準化が削減のポイントになります。
- 業務フローを見直し、現場の無駄な動きを減らすマニュアルを整備する
- 自動化技術の導入により、人手不足の解消とコスト抑制を両立する
- ピッキングロボットなどの活用により、長期的な負担軽減を図る
包装費
包装費は商品を安全に運ぶための梱包材費や、その作業にかかる人件費です。段ボールや緩衝材の費用、梱包作業の手間が該当します。
資材を見直すことで、包装費の削減が期待できます。商品の大きさに合わせて段ボールサイズを最適化すれば、資材単価と積載効率の両方を改善しやすくなります。ただし、簡略化しすぎると破損リスクが高まり、返品コストが増える恐れもあるため注意が必要です。
物流管理費
物流管理費は物流全体を円滑に運営するための管理コストです。管理システムの導入・運用費や、事務部門の人件費などが含まれます。
物流管理費の削減には、以下の取り組みが有効とされています。
- システムの活用による業務の可視化と、輸送費・保管費の無駄の特定
- 物流DXの推進による、長期的な総コストの抑制
- 管理業務の自動化による、属人化の解消と精度の向上
物流コスト削減の具体的なアイデア

費用の内訳を押さえたら、次はどのコストにどう手を打つかを具体的に検討する段階です。ここでは費目別に、実践しやすい施策を紹介します。
代表的な物流コスト削減のアイデアは、以下の5つです。
- 配送ルートの最適化
- 物流拠点の集約
- 倉庫管理システムの導入
- 業務のアウトソーシング
- 物流業務の自動化・機械化
配送ルートの最適化
物流コストの中で最も大きな割合を占めるのが輸送費です。配送ルートを最適化すれば、走行距離を短くして燃料消費を抑えられます。
| 手法 | 内容 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| TMS(輸配送管理システム)の活用 | AIが渋滞や指定時間を考慮し、最適ルートを算出 | 走行距離の短縮と燃料費削減 |
| 共同配送の実施 | 他社と配送網を共有し、荷物を積み合わせる | 積載率の向上と配送単価の抑制 |
| モーダルシフト | 輸送手段をトラックから鉄道や船舶に切り替える | 長距離の輸送コスト削減と環境負荷低減 |
特にTMSの導入は、属人化していた配車業務をデジタル化するのに役立ちます。空車での走行距離を減らすことで、配送コスト削減を進められます。
物流拠点の集約
物流拠点の数を見直し、再配置することは保管費や在庫管理コストの削減につながります。拠点を集約し、分散した在庫の無駄を減らしましょう。
- 重複する倉庫スペースを減らし賃料を削減する
- 管理人員を集約して人件費の増加を抑える
- 在庫を一元管理して欠品や過剰在庫を防ぐ
拠点を集約すると、配送距離の短縮やリードタイムの改善も期待できます。
倉庫管理システムの導入
倉庫管理システム(WMS)の導入は、荷役費などの現場作業コストを抑えるうえで欠かせない施策とされています。
WMS導入で期待できる主な効果は、以下の3つです。
- ピッキング動線の最適化による移動時間の短縮
- リアルタイムの在庫把握による棚卸業務の負担軽減
- 誤出荷の削減による余計な費用の抑制
限られた人員でも多くの出荷に対応できるため、運送業のコスト削減にもつながります。
業務のアウトソーシング
自社で物流機能を維持するのが難しい場合は、3PL(物流業務を専門業者に委託する形態)などの専門業者へ外注するのも、有効な物流コスト削減方法の一つです。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 固定費の流動化 | 倉庫代や車両維持費を、荷物量に応じた変動費へ変えられる |
| 専門ノウハウの活用 | プロによる効率的なオペレーションで無駄を減らせる |
| 最新設備の利用 | 多額の投資をせずに最新のシステムや自動化設備を使える |
物量の変動が激しい業種では、繁忙期における自社での追加人員確保の負担を軽減できるため、管理コストの削減効果を見込みやすくなります。
物流業務の自動化・機械化
労働力不足に対応するため、物流ロボットやAIによる自動化は中長期的なコスト削減の選択肢の一つとされています。
参考:物流の自動化とは?導入すべきシステムや具体的な進め方を解説
代表的な施策は、以下のとおりです。
| 施策 | 内容 |
|---|---|
| 自律移動ロボットの活用 | 作業員の歩行時間を減らし人件費を抑制する |
| 作業精度の向上 | 機械による仕分けで返品や再配送のコストを防ぐ |
| 省人化の推進 | 改正物流効率化法への対応として効率化指標を改善する |
自動倉庫やクラウドシステムによるデータ活用は、持続可能な物流コスト削減につながるとされています。自社の規模に合わせた段階的な自動化が、物流コスト削減を進めるポイントです。

自律移動ロボットの導入を検討する際は、高い走破性と精密性を両立したAGV「ROBO Rook」が有力な候補となります。
工場内のさまざまな環境に対応し、省人化と作業効率の向上を後押しします。
予算ゼロで始める物流コスト削減策
運賃値上げの要請が続く中でも、大きな投資をせずに始められる物流の改善策は少なくありません。ここでは、予算をかけずに輸送費や保管費、荷役費の効率化につながる取り組みを紹介します。
代表的な取り組みは、以下の3つです。
- 作業動線の見直し
- 梱包資材の削減
- エコドライブの徹底
作業動線の見直し
倉庫内の作業動線を最適化することは、コストをかけずに取り組める改善策です。無駄な移動を減らす取り組みは、荷役費や管理費の抑制につながります。
ピッキング作業では、出荷頻度の高い商品を梱包スペースの近くへ配置しましょう。移動距離が短縮されることで、作業効率の向上が期待できます。
| 施策 | 内容 |
|---|---|
| ABC分析の実施 | 出荷頻度に応じて商品を分類する |
| ロケーションの最適化 | 高頻度の商品を最短ルートに置く |
| 5Sの徹底 | 整理整頓を行い探し物の時間をなくす |
現場のレイアウトを見直すだけで、人件費を抑えられます。作業時間の短縮は、現場の負担軽減とコスト削減を同時に実現できる手法です。
※レイアウト変更には一部コストが発生する場合もあります。
梱包資材の削減
包装費の最適化は、手軽に取り組める物流コスト削減の事例として注目されています。資材のサイズを見直すことで、配送コスト削減と保管効率の向上を同時に狙いましょう。
適切なサイズの箱を選べば、緩衝材の使用量を抑えられます。積載効率が向上するため、1回あたりの輸送コスト削減にも有効です。
| 施策 | 内容 |
|---|---|
| 箱のサイズ最適化 | 内容物に適した箱を標準化し、資材費と積載効率を改善する |
| 緩衝材の最小化 | 梱包ルールを統一し、消耗品費と廃棄物を抑える |
| 通い箱の活用 | 再利用可能な箱を取引先と共有し、使い捨て資材費を継続的にカットする |
梱包の見直しは、現場の意識を変えるだけで今日からすぐに実行可能です。環境負荷の低減にもつながるため、企業の社会的評価を高めるメリットもあります。
エコドライブの徹底
運送業のコスト削減では、ドライバーによるエコドライブの徹底も欠かせない取り組みです。
エコドライブには、「ふんわりアクセル」「早めのアクセルオフ」「アイドリングストップ」などが挙げられます。
地道な取り組みの積み重ねが、持続可能な輸送コスト削減の基盤となります。
物流コスト削減は費用の可視化と現場改善から始めましょう
燃料費の高止まりや人手不足を背景に、物流コスト削減は多くの企業にとって避けられない経営課題となっています。まずは費用の内訳を可視化し、自社の現状を正確に把握するところから始めましょう。
ルートの最適化やシステムの導入に加え、現場の作業動線の見直しといった予算をかけない取り組みも、改善を後押しするポイントです。
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